近況報告、二次加工品の展示など
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もし何か期待して足を運んでくださっている方がいらっしゃったら、非常に申し訳ないので、執筆途中の100題を載せておきます。
今までの時間軸から飛んでて、一騎のファフナー初搭乗シーンです。
本当は『どこにもいない彼と対話する方法』の続きを書いていたはずなのですが、終わりだけほぼ書き上がっているのに、間だけすごく煮詰まってて。
そしたらザインさんが好きです、でもエルフさんも好きです、みたいな逃避が起こったという……。
注:
一総です。
若干暴力描写が入ります。
一騎が精神的に病んでいます、というかレプタイルの攻撃本能でおかしくなっています。
……が、しかし小説版を読める方なら普通に読める程度のものだと思われます。
正規アップの場合は、後半えろになるかもしれません。
今までの時間軸から飛んでて、一騎のファフナー初搭乗シーンです。
本当は『どこにもいない彼と対話する方法』の続きを書いていたはずなのですが、終わりだけほぼ書き上がっているのに、間だけすごく煮詰まってて。
そしたらザインさんが好きです、でもエルフさんも好きです、みたいな逃避が起こったという……。
注:
一総です。
若干暴力描写が入ります。
一騎が精神的に病んでいます、というかレプタイルの攻撃本能でおかしくなっています。
……が、しかし小説版を読める方なら普通に読める程度のものだと思われます。
正規アップの場合は、後半えろになるかもしれません。
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自分は前世の夢を見ているのだろうか。
何かに生まれ変わる前の自分、真壁一騎という前世の夢――。
小さなコクピットブロックの中で膝を抱えて、一騎はそれがあるべき場所に納められるのを待っていた。
それはファフナーが受胎する卵。
そして同時に、今日まで全てに蓋をして、日常を生きてきた真壁一騎の棺桶でもあった。
恭しく持ち上げられた卵が台座に納められ、ファフナーの山羊の目が開く。
その瞬間、真壁一騎は死んで、ファフナー・マークエルフになった。
「怖がる必要なんてない。ありのままの自分を受け入れればいい」
我慢することなんてない。
自分を押さえつける必要も、隠す必要もない。
自分の前に立ち塞がるものは全て破壊すればいい。
それだけの力が今の一騎にはあった。
ニーベルングの指輪が神経を刺激する。
レプタイルの脳の本能が刺激されて、身体が疼く。
山羊の目が三百六十度、世界を睥睨し獲物を探していた。
幽霊みたいに半分透けて真っ赤に染まった総士が、空に浮かぶ物体を指差して告げる。
「マークエルフ、あれを破壊しろ」
その声が引き金だった。
制御が全く効かない衝動が、一騎を突き動かそうとしている。
逆らえば自分の気が狂いそうだった。
だから破壊する。
『――あなたはそこにいますか』
敵の問いかけには答えない。
何も考えない。
目の眩むような興奮に突き動かされるまま、一騎は武器を振り上げた。
あの夏の日を思い出す。
振り上げた枝の軽さと、ものが潰れる感触。
流れた血の赤さは、一騎を興奮させた。
神社の石畳に散らばった総士の髪。
一騎の黒とは違う、色素の薄い亜麻色が大好きだった。
フェストゥムの黄金色が死んだら、あんな色になるのだろうか。
その想像にうっとりとした。
一騎は幻想に駆られたまま、夢中でマインブレードを突き立て、抉り続けた。
視界をちらつく総士の赤が、一騎の興奮を煽る。
『――あなたはそこにいますか』
敵が問いかけた。
ここにいるのはマークエルフで、真壁一騎ではない。
答える者はない。
一騎は死んで棺の中で眠っている。
だから、こんな酷いことをしているのは自分ではないのだ。
手にした武器を突き立てたフェストゥムの顔が、
左目から血を垂れ流した幼い総士の顔に見えた。
ふと思う。
一騎が一度死んでマークエルフになったように、総士も死んだのではないだろうか。
「マークエルフ、余計なことは考えるな! 戦闘に集中しろ」
フェストゥムの表面が不規則に揺らめき、不安が心を侵食する。
宙に浮いた総士の幽霊は血まみれだった。
本当は一騎が総士を置いて逃げたあのときに、死んでいたのではないか――。
「……信じろ、一騎。僕はここにいる。生きている」
実体を持たない、総士の滑らかな手が一騎に触れた。
「戦いが終わったら、生身の身体でお前に会いに行く。
そのときに自分で確かめればいい。
――だからマークエルフ、もう一度言う。あれを破壊しろ」
マインブレードの最後の刃が折れる。
フェストゥムのコアから発生した黒球が膨張を始めた。
「離れろ!」
爆風に吹き飛ばされる。
あとには何も残っていなかった。
自分は前世の夢を見ているのだろうか。
何かに生まれ変わる前の自分、真壁一騎という前世の夢――。
小さなコクピットブロックの中で膝を抱えて、一騎はそれがあるべき場所に納められるのを待っていた。
それはファフナーが受胎する卵。
そして同時に、今日まで全てに蓋をして、日常を生きてきた真壁一騎の棺桶でもあった。
恭しく持ち上げられた卵が台座に納められ、ファフナーの山羊の目が開く。
その瞬間、真壁一騎は死んで、ファフナー・マークエルフになった。
「怖がる必要なんてない。ありのままの自分を受け入れればいい」
我慢することなんてない。
自分を押さえつける必要も、隠す必要もない。
自分の前に立ち塞がるものは全て破壊すればいい。
それだけの力が今の一騎にはあった。
ニーベルングの指輪が神経を刺激する。
レプタイルの脳の本能が刺激されて、身体が疼く。
山羊の目が三百六十度、世界を睥睨し獲物を探していた。
幽霊みたいに半分透けて真っ赤に染まった総士が、空に浮かぶ物体を指差して告げる。
「マークエルフ、あれを破壊しろ」
その声が引き金だった。
制御が全く効かない衝動が、一騎を突き動かそうとしている。
逆らえば自分の気が狂いそうだった。
だから破壊する。
『――あなたはそこにいますか』
敵の問いかけには答えない。
何も考えない。
目の眩むような興奮に突き動かされるまま、一騎は武器を振り上げた。
あの夏の日を思い出す。
振り上げた枝の軽さと、ものが潰れる感触。
流れた血の赤さは、一騎を興奮させた。
神社の石畳に散らばった総士の髪。
一騎の黒とは違う、色素の薄い亜麻色が大好きだった。
フェストゥムの黄金色が死んだら、あんな色になるのだろうか。
その想像にうっとりとした。
一騎は幻想に駆られたまま、夢中でマインブレードを突き立て、抉り続けた。
視界をちらつく総士の赤が、一騎の興奮を煽る。
『――あなたはそこにいますか』
敵が問いかけた。
ここにいるのはマークエルフで、真壁一騎ではない。
答える者はない。
一騎は死んで棺の中で眠っている。
だから、こんな酷いことをしているのは自分ではないのだ。
手にした武器を突き立てたフェストゥムの顔が、
左目から血を垂れ流した幼い総士の顔に見えた。
ふと思う。
一騎が一度死んでマークエルフになったように、総士も死んだのではないだろうか。
「マークエルフ、余計なことは考えるな! 戦闘に集中しろ」
フェストゥムの表面が不規則に揺らめき、不安が心を侵食する。
宙に浮いた総士の幽霊は血まみれだった。
本当は一騎が総士を置いて逃げたあのときに、死んでいたのではないか――。
「……信じろ、一騎。僕はここにいる。生きている」
実体を持たない、総士の滑らかな手が一騎に触れた。
「戦いが終わったら、生身の身体でお前に会いに行く。
そのときに自分で確かめればいい。
――だからマークエルフ、もう一度言う。あれを破壊しろ」
マインブレードの最後の刃が折れる。
フェストゥムのコアから発生した黒球が膨張を始めた。
「離れろ!」
爆風に吹き飛ばされる。
あとには何も残っていなかった。
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